普段あなたは、どの金融機関をよく利用していますか?なんとなく都市銀行などのメガバンクや地方銀行を選んでそのまま使っている、という方が多くいらっしゃると思いますが、実はあなたの地域にある信用金庫にもキラリと光る魅力がたくさんあるんです。
信用金庫は地域密着の非営利組織ということもあり、個人の相談にも親身になって応じてもらえます。特に預金や給与の受け取りなど、日常的にサービスを利用している方であればより関係性を築きやすく、融資などの相談のしやすさにもつながります。
そこで今回は、信用金庫とはどのような組織なのか、信用金庫でお金を借りる際におさえておきたいポイントについてご紹介します。
そもそも信用金庫とは?銀行との違いを知ろう
区分 | 信用金庫 | 銀行 |
---|---|---|
根拠法 | 信用金庫法 | 銀行法 |
設立目的 | 国民大衆のために金融の円滑を図り、その貯蓄の増強に資する | 国民経済の健全な発展に資する |
組織 | 会員の出資による協同組織の非営利法人 | 株式会社組織の営利法人 |
会員資格 | (地区内において)・住所または居所を有する者・事業所を有する者・事業所を有する者の役員 | なし |
業務範囲(預金・貸出金) | ・預金は制限なし・融資は原則として会員を対象とするが、制限つきで会員外貸出もできる | 制限なし |
https://www.shinkin.org/shinkin/difference/
信用金庫も銀行も金融機関であり、預金や融資業務を行なっています。ただ、運営に伴って適用される法律や組織体制は大きく異なっています。具体的に見ていきましょう。
信用金庫とは
信用金庫とは、地域の金融機関として運営されている非営利組織です。預金・融資・為替業務などを通じて地域に貢献することを目的とした営業活動を行っています。信用金庫にはそれぞれ担当しているエリアが決められており、その地域内で暮らしている方や働いている方、事業所を持っている方が利用できます。
自分が利用できる信用金庫を調べるには、一般社団法人全国信用金庫協会のサイトが便利です。
信用金庫では地域の相互扶助を目的としている組織であるため、利用者どうしで支え合うという「相互扶助」の観点から会員制をとっています。そのため原則として、利用者は会員になって出資することとなっています。ただし口座開設や預金、本人の預金を担保にした資金貸付、700万円以下の小口融資や手形割引など、会員でなくても利用できるサービスも多数あります。まずは信用金庫の窓口で条件を確認してみましょう。
ちなみに個人の会員資格は「信用金庫の営業エリアに居住、もしくは勤務している方」(引用:一般社団法人全国信用金庫協会 )。会員となるための最低出資額は信用金庫によって前後しますが、5千〜1万円となっています。会員になると、出資額や信用金庫の経営状況に応じて配当金を受け取れることがあります。
信用金庫と銀行の違い
信用金庫は「信用金庫法」、銀行は「銀行法」に基づいて運営されています。銀行は株式会社であり、顧客との取引を通じて営利活動を行なっています。メガバンクはもちろん、地域に根ざした地方銀行においてもその活動範囲や顧客の属性は限定されていません。
一方、信用金庫は営利を目的としていない協同組織であり、営業エリアはその信用金庫のある地域に限定されるという点で大きく異なります。地域の経済活動に貢献することが信用金庫の大きな目的であり、その地域の人々の暮らしを支えることを主眼に置いています。そのため顧客(会員)もその地域で活動している方に限定されます。
信用金庫ローンには銀行にはないメリットも
信用金庫 | 銀行 | |
---|---|---|
調査対象の社数 | 253 | 120 |
ローン商品数 | 1,600 | 477 |
1社あたりのローン数の平均 | 6.3 | 4.0 |
金利の上限値の最小 | 1.50% | 2.68% |
金利の上限値の最大 | 16.50% | 18.00% |
金利の上限値の平均 | 11.67% | 12.12% |
「金融機関の個人向けローン」と聞くと、銀行で借りることをまずイメージするかもしれませんね。信用金庫でお金を借りるメリットについては意外と知られていませんが、実は銀行の融資と比べて次のような違いがあります。
魅力的な金利水準・サービス
uP. Money編集部の調査によると、信用金庫の個人向けローン金利は銀行ローンと同程度、もしくは少し低い水準となっています。さらに条件に当てはまれば個人ローン金利を引き下げる制度をとっている信用金庫もあります。たとえば信用金庫で給与や年金振り込みを受けている方、光熱費の口座振替取引を行っている方、住宅ローンを利用している方、信用金庫の出資会員、信用金庫が提携しているクレジットカードの契約者などに対して、個人ローン金利を通常より引き下げるサービス等があります。
信用金庫あるある?ローン審査の柔軟性
銀行の場合、ローンの審査基準は厳しめとなっています。職業や年収、取引履歴など様々な角度からじっくり審査するため、結果が出るまでに時間もかかります。信用金庫でも同様の審査は行われますが、銀行よりも融資条件について柔軟に対応してもらえるケースもあります。地域で暮らす方のニーズにできる限り耳を傾け、貢献したい。地域密着型の金融機関だからこそのサービス体制が信用金庫の魅力です。
なお、信用金庫は銀行と同様に貸金業者ではないため、ローンの借入上限額を年収の3分の1までに規制する「総量規制」の対象外となっています。
信用金庫のローン商品の幅広さ
上の図でもご紹介した通り、信用金庫で取り扱っているローン商品数の1社あたりの平均は銀行よりも多くなっています。さらに地域性や独自性のある商品開発やキャンペーンを行うことも多い、というのも信用金庫ならではの特徴です。
信用金庫で取り扱っている代表的な個人向けローンは主に下記の通りです。

https://www.shinkin.org/shinkin/gyoumu/yushi.html
ローン商品の選択肢が多いということは、目的に合う融資をできるだけ良い条件で受けることができるということでもあります。信用金庫でお金を借りることで得られるメリットのひとつです。
信用金庫のデメリットは?銀行との比較

信用金庫を利用する際、少し不便に感じることがあるかもしれません。たとえば下記のようなデメリットが挙げられます。
転勤・転居により利用できなくなる可能性がある
信用金庫は営業エリアが決まっています。そのため、エリア外に引っ越した時はこれまでお世話になっていた信用金庫が利用できなくなる可能性があります。特に転勤等で引っ越しする機会が多い方はその都度、新たにその地域の信用金庫と契約することになります。転居後も引き続き利用できる銀行や地方銀行とは大きく異なります。
オンライン取引や手数料無料で利用できるATMが限定される
都市銀行や地方銀行のように全国規模で運営している組織ではないため、インターネットバンキングや利用できるATMが限られてしまうという弱点があります。特にお金を引き出したい時、信用金庫の営業エリア外にあるATMを利用すると手数料がかかる可能性がある点に注意が必要です。また、各種手続きは基本的に信用金庫の窓口で行うというスタイルなので、営業時間内に窓口へ行けない方は少し不便に感じてしまうかもしれません。
まとめ

地域に根ざした非営利の組織、信用金庫ならではの特徴をご紹介しました。自分が住んでいる、または働いている会社があるエリアという制限はありますが、だからこそ得られる信用金庫のメリットも大きいと言えるでしょう。
この先の人生を考えたとき、フリーローンや住宅ローン、カーローンなどの個人ローンを利用する可能性が少しでもありそうなら、信用金庫で日頃から関係性や取引実績を築いていくのも良さそうです。日々、メインバンクとして信用金庫を利用するということは、融資を受ける際のプラス材料にするというだけでなく、ご自身がお金を借りる際の安心感にもつながると思います。これまであまり馴染みがなかった、という方もこの機会にぜひ検討してみてはいかがでしょうか。