近年、個人向けのローンは「残高スライド元利定額返済方式」と呼ばれる方法で返済するのが一般的になっています。もしかしたら「難しい名前、こういうのはちょっと苦手」と感じるかもしれませんね。ただ、返済方法の種類や仕組みを理解しておくと、いざお金を借りる時に安心して融資を受けられるのはもちろん、返済計画の見直しやローン会社への相談・交渉がよりスムーズになります。

そこで今回は、借り入れの返済方法について、種類や違い、ご自身に合う返済計画の立て方についてご紹介します。すべてに共通するポイントは、返済方法の用語を細かく分解してとらえてみることです。

「元利定額」と「元金定額」の違い

言葉を分解して少しずつ考えていくことで仕組みをイメージしやすくなります。まずは「定率」と「定額」、「元利」と「元金」についてそれぞれ見ていきましょう。

返済スタイルには「定額」と「定率」がある

★定額返済:毎月、一定額を返済する

★定率返済:毎月、残高の一定割合を返済する  

データ:10万円を借り入れた場合の定額返済・定率返済について筆者が試算
※小数点以下は四捨五入、利息は考慮しない

「残高スライド元利定額返済方式」をより深く理解するために、まずは「定額」の返済スタイルについてご説明します。返済の方法はいくつかの軸で分類することができます。そのひとつが「定額」と「定率」という2種類の返済方法です。

定額返済方式とは、毎月「一定の金額」を返済する方法です。そして定率返済方式とは、毎月「一定の割合」を返済する方法です。上のグラフを例に考えていきましょう。(なお、ここでは返済方法の仕組みの説明に特化するために、借入利息については考慮しないこととします。)

定額返済方式の場合、毎月1万円ずつ返済していきます。借入残高に関係なく、ずっと同じ金額を返していきます。借入残高は毎月1万円ずつ減っていきます。

定率返済方式の場合、毎月の借入残高のうち一定の割合を返済していきます。たとえば返済初月は10万円×10.0%=1万円を返済、2ヶ月目は借入残高が9万円になっていますので9万円×10.0%=9千円を返済、となります。定額返済方式とは違い、借入残高が変化すると月の返済額も変わります。追加の借入がない場合、借入残高は返済が進むにつれて減っていきます。ただ、それと共に返済額も減っていくため、定額返済方式と比べると完済までに時間がかかってしまうという弱点があります。現在、この方式を採用しているローン会社はほとんどありません。

定額返済における「元利」と「元金」の違いを知ろう!

例:

元利定額:毎月の返済額は1万円(返済後の借入残高は1万円から利息を引いた金額分減る)

元金定額:毎月の返済額は1万円+利息(返済後の借入残高は1万円分減る)

元利定額方式とは、毎月一定額を返済する方法のことです。返済額の内訳は元金と利息を足したもの(元利)です。返済額が毎回同じなのは家計管理の面から見ると分かりやすいというメリットがあります。一方、返済額の内訳は、返済がスタートしてしばらくの間、元金分よりも利息分の方が割合が高くなります。そのため元金の返済に時間がかって返済期間が長くなる傾向にあります。返済ペースが掴みやすい反面、最終的な返済総額は、このあとご紹介する元金定額方式よりも増えやすくなるという点に注意が必要です。

元金定額方式とは、返済元金が毎月一定額で、そこに利息を上乗せします。利息は借入残高額により変動するため、毎月の返済額合計も変わります。元金定額の特徴として、元金が一定額になっている分、追加借入がなければ支払い回数が明確に分かるという点が挙げられます。たとえば10万円を借りて、毎月元金を1万円返済するとします。10万円÷1万円=10回が返済回数となり、毎月の返済金額は元金返済額の1万円に利息がプラスされた金額となります。毎月の元金返済額は、借入金額に応じてローン会社がそれぞれ独自に金額を定めています。

「残高スライド元利定額返済方式」と「残高スライド元金定額返済方式」とは

元利定額と元金定額の意味を踏まえて、次に「残高スライド元利定額返済方式」「残高スライド元金定額返済方式」と呼ばれる返済方式についてご紹介します。

まずは「残高スライド方式」の意味をおさえておきましょう。残高スライド方式とは借り入れの残高に応じて1回あたりの返済額が変動する返済方式のことを指します。残高に合わせて変動(スライド)することからこの名前がつけられています。毎回の返済額は会社ごとに基準が設けられており、借入金額に応じた最低返済額が設定されています。原則、利用者が返済額を決めることはできません。

これを踏まえて、次の2項目を見ていくと理解しやすいと思います。

残高スライド元利定額返済方式とは

残高スライド元利定額返済方式とは、残高スライド方式で、元金+利息(元利)が定額になっている返済方式のことです。最初の借入金額に応じた最低返済金額が設定され、完済まで返済金額は変わりません。借入残高に応じて「元利」が変動(スライド)する方式のため、もし途中で追加借入を行なった場合はその時の借入残高に応じた最低返済額が再設定され、完済までその再設定された金額を返していきます。。消費者金融や銀行系のカードローンで主に使用されている方式です。

たとえば、消費者金融から初めて30万円を借り、最低返済額が1万5千円だったとします。追加借入がなければこの金額を完済まで返していきます。もし途中で追加借入を行い、借入残高の合計が80万円に増えた場合は、残高80万円に対する最低返済額に変更され、完済まで返していきます。 

設定された返済額の中身は、元金と利息、つまり元利となっているため、返済が進めば進むほど返済できる元金部分が増えていく(利息部分が減っていく)仕組みです。一定額の返済となるため返済計画が立てやすいというメリットがあります。最低返済額に上乗せして繰り上げ返済を積極的に行なっていくことで元金の返済速度が早まり、支払う利息の額や返済期間を抑えることができます。

ここでひとつポイントがあります。いまご紹介した仕組みは主に消費者金融系のカードローンで用いられている返済方式です。実は、銀行系のカードローンでは、「残高スライド式元利返済方式」という名前は同じであっても返済方法が少し異なることがあります。具体的には、返済が進んでいくと、借入残高に応じて1回あたりの返済額が減るというものです。たとえば、借入残高が100万円の時は毎月2万円ずつ返済し、数回の返済が終わった時点で残高が150万円になると毎月の返済額が1万8千円になる、というような具合です。

一見、毎月の家計負担が減ってメリットが大きいように見えますが、月の返済額が減るということはその分、元金の返済スピードが遅くなるため利息の支払い額や返済期間が増えるということになります。対処法としては、最低返済額が引き下げられてもできるだけそれ以前と同水準の金額で繰り上げ返済を続けていくことが挙げられます。

残高スライド元金定額返済方式とは

残高スライド元金定額返済方式とは、残高スライド方式で、元金が定額になっている返済方式のことです。現在、この返済方法を採用しているカードローンはほとんどありません。これまでご紹介してきた「元金定額」「残高スライド元金定額返済方式」の理解を深めるため、ここでは概要をご紹介します。

借入額に応じて元金の最低返済額が設定されます。その元金に、利息返済分を足した額を返済する仕組みです。元金の返済額は固定されますが利息は借入残高によって変動するため、元利定額方式とは異なり1回ごとの返済総額は変動します。残高スライド元利定額返済方式よりも元金の返済スピードが早いため、トータルで発生する利息や返済額が少なくなるというのが大きな特徴です。できるだけ元金の返済額を増やすことで利息の支払いが減るため、やはり繰上げ返済を行うことが返済のポイントになります。

「元利定額」と「元金定額」の利息や借入残高はどう計算するの?

実際にお金を借りるとき、返済方法はローン商品を選ぶ際のポイントのひとつになります。自分に向いているローン商品を選ぶポイントをご紹介します。

元利定額と元金定額の計算方法を知ろう!

ここでは返済方法で用いられることの多い元利定額返済方式と元金定額返済方式について、返済の試算をする際に役立つ計算式と事例をご紹介します。返済シミュレーションを行うときには、「支払利息」「返済額における元金充当分」「借入残高」の3点を計算してみることで返済イメージをつかみやすくなります。さらに、どのように算出されるかの知ることは返済方式の仕組みの理解にも役立ちます。

なお、追加借入を行わないという条件であれば、それぞれ「残高スライド元利定額返済方式」「残高スライド元金定額返済方式」でも同じ計算式を使うことができます。 

  • 元利定額方式の計算方法

元利定額返済方式の計算方法(返済初回)

支払い利息借りた金額×実質年利(%)÷365日(※1)×30日(※2)
返済額における元金充当分月額支払額(金利含む)ー当月返済額(金利含む)
借入残高借りた金額+当月利息分ー毎月返済額(金利含む)

(※1)閏年の場合は366日で計算
(※2)より正確に計算したい場合は返済間隔の日数を入れて計算

元利定額返済方式の計算方法(返済2回目以降)

支払い利息借入残高(直近)×実質年利(%)÷365日(※1)×30日(※2)
返済額における元金充当分月額支払額(金利含む)ー当月返済額(利息充当分)
借入残高借入残高(直近)+当月利息分ー毎月返済額(金利含む)

(※1)閏年の場合は366日で計算
(※2)より正確に計算したい場合は返済間隔の日数を入れて計算

例:
残高スライド元利定額返済方式にて20万円を実質年率18.0%で借り、毎月1万5千円を返済するとしたら

※追加借入・繰り上げ返済をしない場合
※100円以下は切り上げ

<初回返済>

20万円×18.0%÷365日×30日≒3千円:支払い利息
1万5千円ー3千円=1万2千円:返済額における元金充当分
20万円ー1万2千円=18万8千円:初回返済後の借入残高

<2回目>

18万8千円×18.0%÷365日×30日≒3千円:支払い利息
1万5千円ー3千円=1万2千円:返済額における元金充当分
18万8千円ー1万2千円=17万6千円:2回目返済後の借入残高

  • 元金定額方式の計算方法

元金定額返済方式の計算方法(返済初回)

支払い利息借りた金額×実質年利(%)÷365日(※1)×30日(※2)
初回の返済額借りた金額÷返済回数(※3)
借入残高借りた金額ー毎月返済額(金利含む)

(※1)閏年の場合は366日で計算
(※2)より正確に計算したい場合は返済間隔の日数を入れて計算
(※3)残高スライド元金定額返済方式の場合は「1回あたりの元金返済額+その回の支払い利息」となる

元金定額返済方式の計算方法(返済2回目以降)

支払い利息借入残高×実質年利(%)÷365日(※1)×30日(※2)
当月の返済額借りた金額÷返済回数(※3)
借入残高借りた金額ー毎月返済額(金利含む)

(※1)閏年の場合は366日で計算
(※2)より正確に計算したい場合は返済間隔の日数を入れて計算
(※3)残高スライド元金定額返済方式の場合は「1回あたりの元金返済額+その回の支払い利息」となる

例:
残高スライド元金定額返済方式にて20万円を実質年率18.0%で借り、元金定額が1万5千円に設定されていたら

※追加借入・繰り上げ返済をしない場合
※100円以下は切り上げ

<初回返済>

20万円×18.0%÷365日×30日≒3千円:支払い利息
1万5千円+3千円=1万8千円:初回の返済額
20万円ー1万5千円=18万5千円:初回返済後の借入残高

<2回目>

18万5千円×18.0%÷365日×30日≒3千円:支払い利息
1万5千円+3千円=1万8千円:2回目の返済額
18万5千円ー1万5千円=17万円:2回目返済後の借入残高

返済方法の選び方、ポイントは「目的」と「期間」

消費者金融や銀行系のカードローンでは現在、残高スライド元利定額返済方式が主流となっていますが、元利定額方式や元金定額方式、定率返済方式などの返済方法を採用しているローン商品もあります。返済方法の種類や仕組みを踏まえて、返済まで無理なくやりくりできそうなローンを選びましょう。

元利定額返済は返済額が一定なので家計管理しやすいですが、元金定額に比べて返済に時間がかかってしまうという特徴もあります。その分、利息を支払う額も増えます。元金定額返済は返済が進むにつれて月の返済額が減るため、家計負担が増えるということはない。元金が毎月一定額ずつ返済されるので借入残高の管理がしやすく、利息の支払いをできるだけ抑えることができます。

ただし、どちらの返済方法においても、残高スライド式の返済の場合で追加借入がある場合は、そのタイミングや金額等によって当初よりも支払う利息や返済期間が増減することがあります。また、ローン商品によっては別途手数料を支払うこともあります。その点も考慮しておきましょう。

家計に余裕ができたら、繰上げ返済や一括返済するのも良いアイディアだと思います。言うまでもなく、借りている期間が短くなればなるほど利息を減らすことができます。

例:
<利息の計算式>

借入額×実質年率÷365日(※)×借入日数
(※)閏年の場合は366日

<50万円を金利15%で借りた場合>※小数点以下は切り上げ

  • 30日後に一括返済すると

50万円×15%÷365日×30日≒6,164円

  • 7日後に一括返済すると

50万円×15%÷365日×10日≒1438円

毎月の返済が続くと「このままコツコツ返していけばいいかな」と思いがちですが、たとえばそれを一括返済しておけば家計にもプラスですし、将来再度お金を借りる時のために借入枠を確保しておくことができます。ボーナスが入ったときなどには、意識的に繰上げ返済や一括返済を行うことをおすすめします。

返済計画の立て方は各社の返済シミュレーションが役立つ

返済計画の立て方 ポイント
いくら借りるか明確にする/現時点での借金額をすべて把握する
今後、毎月どのくらいの金額を返済にまわせるか検討する
返済期間はいつまでかかるのか目処を立てる

お金を借りるときには、できるだけ返済完了までを視野に入れて返済金額や返済方法を決めるようにしましょう。返済計画に無理がないよう、事前に確認しておくことが必要です。

uP.でも返済金額や返済期間などをシュミレーションできる機能を提供しています。あくまで目安となる数値ですが、ぜひ活用してください。
https://updot.jp/simulations

できるだけ早く完済しようとして月の返済額をギリギリまで上げてしまうと、他の理由で支出が急に増えてしまったときに返済する余裕がなくなってしまう危険性もあります。返済方法や返済額、完済までの期間について、安心できるバランスが取れる条件でローンを組むことをどうか忘れないでください。

まとめ

残高スライド元利定額返済方式は、ローンによって呼び名が少し変わったり返済方法に若干違いがあったりします。たとえば「残高スライド元利定額リボルビング払い」は今回ご紹介した残高スライド元利定額返済方式と同じ方法です。リボルビングとは借入額が増えても毎月の返済額は変わらない返済方式のことを指します。これまでなんとなく「リボ怖い」と思っていた方も、仕組みを知ることでローンは自分の使い方次第であることがわかってくるのではないでしょうか。漠然とした不安は知識を増やして解決しながら、ローンを賢く活用しましょう。