現在借り入れをしている方や、カードローンを検討中の方は、「弁済」という言葉を見聞きしたことがあるかもしれません。

ただ、普段あまり使われない言葉なので、弁済と言われてもピンとこない方も多いことでしょう。

今回は、弁済の意味や返済との違いなど、「弁済」についてわかりやすく解説していきたいと思います。

弁済の定義は?どういう意味?

弁済とは、債務者が約束の債務を実行することです。また、それにより債権者の目的は達成され、債権が消滅することを弁済と言います。

簡単に言うと、借りたお金を全額返すことです。

ただ弁済は、借金を返す時だけでなく、物品を売買する時や、家賃の支払い・受領などを行う際にも使用します。

具体的な事例

弁済について具体的な例をあげると、以下のような事例があります。

  • 借りたお金を全額返すこと
  • 購入すると決めた商品の代金の支払いを行うこと
  • 支払いが済んでいる商品を購入者に渡すこと
  • 賃貸マンションの家賃の支払いを終えること など

この場合の「債権者」は、お金を貸している人や、商品の支払いを受ける店員、購入した商品の受け取りを待つ購入者、賃貸マンションの大家さんなど「弁済を受ける権利のある人」です。

「債権」は、借金や商品、家賃の受け取りなどを受ける「権利」のことです。

「債務」は、借金や商品の受け渡し、家賃の支払いなど、行う必要のある「義務」のことです。

そして「債務者」とは、「その行為を行う義務のある人のこと」です。

弁済は日常の中でよくあるありふれた行為

弁済というと、借金を連想する方もいると思います。

しかし、実際は借金の時だけでなく、お金が関わるやり取りの様々なシーンで「弁済」が行われています。

普段の生活の中ではほとんど使われない言葉ですが、実は私たちの日常生活に深く関わりのある言葉です。

民法改正後の定義の変更点

平成29年5月26日に民法改正を行い、弁済に関する定義も少し変更されました。

弁済は、債務者だけでなく第三者が行う場合もありますが、この「第三者による弁済」がどの程度まで認められるかという部分の、民法改正が行われました。

民法改正の内容をチェック!

改正前は、第三者弁済の内容が以下のように決まっていました。

①保証人・物上保証人・建物賃借人等のように、他人の債務を弁済することで自分も負担を無くすことができる人の、第三者弁済は可能。

➁保証人・物上保証人・建物賃借人等でない第三者は、債務者の同意がなければ第三者弁済できない。

改正後は、第三者弁済の内容が以下のように変更になりました。

・債務者の同意なしに、保証人・物上保証人・建物賃借人等でない第三者が弁済したとしても、債権者がそのことを知らなければ有効。

・債権者は、第三者弁済を受領しないことができる。ただし、債務者の委託があったことを事前に知っていた場合は、受領しなければならない。

簡単にまとめると、➁の第三者弁済も、ケースバイケースで認められるよう変更になりました。

わかりやすい例え

改正した内容を、わかりやすいように具体的な例にして確認していきましょう。

娘が借金をしていて、それを知った親が借金の肩代わりをしようと、お金を貸してくれたAさんに全額支払おうとしています。

この時、親が肩代わりしたことを娘は同意しているのか、それとも、親が娘には内緒で同意を得ずに行っているのかを、Aさんが知らなかったとします。

この場合Aさんは、受け取り拒否をすることもできるし、第三者弁済としてお金を親から受け取ることもできる、ということです。

弁済と返済の違いは?

「借金を弁済する」も「借金を返済する」も、同じように「お金を返すこと」と意訳することができます。

ただ、お金を返すという意味では同じように使うことができますが、実際には大きな違いがあります。

「借金を返済し続けている」とは言えますが、「借金を弁済し続けている」とは言えません。

また、「弁済」は法律用語として使用されますが、「返済」は法律用語ではありません。

弁済は全額限定で使う

弁済は、債務を履行し債権を消滅させることです。そのため「弁済」は、借金や家賃などを全額返し終える時にしか使用できません。

また、お金を受け渡すときだけでなく、物品購入時など売買契約のときでも使用可能です。

行うべき義務のある行為が完全に終了するときには、弁済を使用します。

返済は一部でもOK

「返済」は、借金の一部を返す場合にも使うことができます。弁済とは違い、全額の場合でなくても使用可能です。

住宅ローンやカードローンなど、分割払いでお金を返すときにも返済という言葉を使っています。

返済は、「借りたものを返すこと」を表す言葉なので、1円でも返したなら返済したと言えます。

債務の履行は弁済と同じ意味?

「債務の弁済」とよく似た意味を持つ、「債務の履行」という言葉があります。

同義語なので、ほとんど違いはありません。ただ、この言葉を使う際の視点が若干違うので、言葉から受け取るイメージも少しだけ変わってきます。

具体的な解説

「弁済」は、「借りを全て返し終えること」です。債務の弁済は、債権が「消滅」することを意味します。

一方「履行」とは、「決め事を実際に行うこと」です。債権を「実現」することを意味します。

わかりやすい例え

例えば、Bさんは、Cさんが大家を務めるアパートに住んでいるとします。

「Bさんは、今月の家賃をCさんに支払い弁済した」と聞けば、家賃を支払う義務も受け取る権利も無事に果たされ消滅し、お互いに満足の結果となり、現在はすべてが無くなった状態をイメージします。

一方、「Bさんは、Cさんに債務を履行して、今月の家賃を支払った」と聞けば、BさんがCさんに家賃を支払って、Cさんが家賃を受け取っているところをイメージします。

ほとんど同じ意味ですが、「債務の弁済」は債権が消滅したところが重要で、「債務の履行」は債権が実現したところが着目点になっています。

まとめ

弁済は、債務を実行し債権を消滅させることです。借金でいえば、借り入れした金額を全額返済し終えることです。

弁済と聞くだけで、全ての債務を果たし債権が消滅した状態を連想できるので、最も詳しく最終的な状態まで表した言葉と言えます。

また、返済や履行などの言葉も似たようなシチュエーションで使われますが、弁済とは意味や着目点が異なります。

弁済は、金銭に関わるやり取りで日常的に行われている行為です。借りたものはしっかりと返して、弁済することを心がけましょう。