あなたは「代物弁済」という言葉を知っていますか。若い世代の方や、お金を借りたことが無い方にとって聞きなれない言葉かもしれません。

この言葉は主にお金を借りるシーンで登場します。
簡単に言うと借りたお金を返す際に、お金ではなく特定の資産で返すことです。イメージが沸いたでしょうか。

今回はこの「代物弁済」について記事を書いていきます。

代物弁済の民法における定義とその意味とは

代物弁済の定義や意味に入る前に「弁済」と「返済」の違いについてご説明します。

まず「弁済」とは、借りたものを全て返すという意味です。
例えば100万円を借りた場合、100万円をすべて返すことです。

一方、「返済」とは、借りたものを一部でも返すという意味です。
例えば100万円を借りた場合、毎月10万円ずつ返すこと等です。
多くの方はイメージされるのはこの「返済」ではないでしょうか。
これらの違いを理解した上で代物弁済の内容を説明します。

民法によると代物弁済とは次のように定められています。

【改正法】
(代物弁済)第482条 弁済をすることができる者(以下「弁済者」という。)が、債権者との間で、債権者の負担した給付に代えて他の給付をすることにより債務を消滅させる旨の契約をした場合において、その弁済者が当該他の給付をしたときは、その給付は、弁済と同一の効力を有する。

【旧法】
「債務者が、債務者の承諾を得て、その負担した給付に代えて他の給付をしたときは、その給付は、弁済と同一の効力を有する」

民法第482条 代物弁済

この条文を簡単にまとめると、お金の貸し借りを前提とする場合債務(借金)は金銭で返すのが原則ですが、債権者(お金を貸す人)の契約や了承を得れば金銭以外の物(不動産や車、絵画等)で弁済できるということです。

多くの方がイメージするのは不動産が多いと思いますが、資産価値が認められない物であっても、債権者と契約が成立すればどのような資産でも対象になります。

つまり、弁済した物が債権と同じ価値でない場合であっても債権者の合意があれば返済が可能です。
ただし、ほとんどの場合は本来の金額以上の価値がある資産でなければ代物弁済が行われるケースはありません。

資産価値が低い物で代物弁済を全て認めてしまうと債権者は損をしてしまうからです。

代物弁済の具体例と手続きの流れ

先程も少しふれましたが、実際に代物弁済を行う場合、不動産で弁済されるケースが多くなります。なぜなら不動産は所有権を移転したことを登記によって第三者に主張することができるという点で、動産よりも優れているからです。

他にも車や絵画等も代物弁済の対象になるとお伝えしましたが、現実的にはあまりありません。理由は市場価値が分かりづらいからです。

不動産であれば債権者にとって安心できる面が多いため、代物弁済では不動産が用いられることが多いようです。

代物弁済のメリットとデメリット

メリット:競売手続き無しで資産を移動できる

代物弁済では競売手続きが無く、そのまま資産の所有権が債権者に移ります。

競売とはローンで住宅を購入した人が返済できなくなった際に行われる売却方法です。裁判所を通じて売却を行い、そのお金で残りのローンを返済することを言います。

早期に売却を行うため、市場の価格よりも安く売却されることが多いです。

デメリット:税金がかかる

債務者の場合は免除された債務額に応じてみなし贈与課税として、贈与税がかかることがあります。

一方、債権者の場合は債務者から譲渡された資産の価値が債務額を超えていた時に所得税、不動産を取得したのなら不動産取得税が発生します。

まとめ

代物弁済は個人間だけでなく、法人間でも行われます。
例えば、取引先への債権が回収できない場合等に解決策として用いられます。
代物弁済は様々な場面で利用されるのです。

もちろん、代物弁済が成立するためには双方の合意が必要になります。
債権者にとって貸したお金が返ってこないのは重大問題ですので、このような方法を使うことがあります。

ここまで代物弁済についてご説明してきました。
人から金銭を借りたら金銭で返済するのが通常ですが、困難な場合は代物弁済という方法があることが理解できたのではないでしょうか。